熱中症が起きる原因
熱中症は日差しが照りつける屋外だけで起きる症状ではありません。環境次第では、室内でも十分に起こりえるものであり、密閉された空間である工場は、非常に熱中症が起きやすい現場とも言えます。
「環境」「からだ」「行動」という3つの原因
熱中症が引き起こされる原因として、環境省が挙げているのが「環境」「からだ」「行動」の3つ。工場の安全衛生管理者としてまず知っておくべきは、1つ目の「環境」についてです。
熱中症が起きやすい環境とは、例えば以下のようなものです。
- 気温が高い
- 湿度が高い
- 風が弱い
- 閉め切っている
- エアコンが無い
※参照元:熱中症予防情報サイト|環境省(https://www.wbgt.env.go.jp/heatillness.php)
この中でまず定量的にできる対策は「気温が高い」と「湿度が高い」。
熱中症のリスクを評価する指標である「暑さ指数(WBGT)」(日本生気象学会)を調査したところ、温度が28℃以上の場合は「厳重警戒」レベルになりえることを示しています。
湿度は60%を超えると熱中症のリスクが高まるため、わかりやすい指標でいえば、「温度は28℃以下・湿度は60%以下」を目安とすると良いかもしれません。
その他の「風が弱い」「閉め切っている」「エアコンが無い」に関しては、工場内の設備を整えることを考えてみましょう。
大型空調、ゾーン空調、スポットクーラー、チラー水冷式身体冷却システムといった様々な設備があるので、その工場にあわせた設備導入を検討することをおすすめします。
見直すべき「からだ」と「行動」
熱中症が起きやすい「からだ」の状態とは、例えば以下のようなものです。
- 二日酔いや寝不足による体調不良
- 下痢やインフルエンザでの脱水状態
- 低栄養状態
※参照元:熱中症予防情報サイト|環境省(https://www.wbgt.env.go.jp/heatillness.php)

「からだ」が上記のような状態にあるときは、「汗が出にくく、皮膚から逃げる熱が少なくなり、熱中症の発症リスクが高まるため、室内での作業は避けるべきでしょう。
また「行動」として湿度が高い」。
熱中症のリスクを評価する指標である「暑さ指数(WBGT)」(日本生気象学会)を調査したところ、避けるべきなのは、激しい運動、慣れない運動、水分補給できない状況。
工場では重い物を運搬するなど、体に強い負荷をかける作業が少なくありません。
そういった高負荷の作業をする際には、軽度な運動をしてから始めたり、適度に水分を補給しながら行ったりするなど、極力体に負担をかけないように努めましょう。
管理者として最も重要なのが「環境」作り
ここまで見てきた「室内で熱中症が起きやすい原因」のなかで、「からだ」や「行動」に関しては従業員の体調チェックや工場内での作業ルールを策定することで、リスクを低減することはできるでしょう。
管理者にとって最重要なのが、従業員が安心して作業できる「環境」を作ること。
高温多湿な状況になることを避け、かつ程よく風通しをよくする環境作りを心掛けましょう。
そのためには、大型空調、ゾーン空調、スポットクーラー、チラー水冷式身体冷却システムといった設備の導入、または個人で着用するファン付き作業服や保冷剤付ベストなどのウェア類などを検討してみてもいいかもしれません。